倒産、閉店しまくるアメリカの厳しい小売店事情

【2020年5月追記】

2020年5月現在、この数か月のコロナウィルスの拡大により、アメリカの小売業のほとんどのお店が一時閉店を余儀なくされました。

この記事を書いたのが2017年ですが、2016年、2017年のアメリカ小売業を振り返っており、既に瀕死の状態であった事が顕著に表れていると思います。

そして2018年、2019年もお店の閉店の波が加速していました。

2020年になり、コロナウィルスという大打撃を受けてしまい、もうとどめを食らってしまった状態です。

2020年5月中旬では、2か月一時閉店していたお店も漸く再開しだしたかの様に見えますが、私の住むカリフォルニア州ではカーブサイドピックアップといって、オンラインで購入してお店の外で受け取るシステムのみ認められている地域がほとんどで、まだまだ再開したとは到底言えない状況です。

先日発表された米小売売り上げ推移で4月は予想よりもかなり悪い数字が出てきました。

特に衣料小売りの80%減少という事は、オンラインでの売り上げが全然取れておらず、未だに実店舗に頼り切った商売をしていたと言えます。

これでは、アマゾンや他のオンラインベースの多業種にパイを奪われるのは当然の結果です。

今後もアメリカの小売業はどんどん淘汰されてしまう事になると予想されます。

アメリカの失業率を含めた最新のアメリカの小売業の現状を実際に現役として小売業に携わる身として記事にしています。

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淘汰されるアメリカの小売店

アメリカの小売店は本当に厳しい状況にさらされています。昨年から今年にかけて、本当に沢山の小売店が閉店、もしくは閉店の告知をしています。

2016年閉店、破産申請

昨年2016年では、Macy’sという老舗のデパートが100店舗閉鎖宣言、スポーツオーソリティという大手のスポーツ洋品店が破産申請で140店舗閉店(日本にもこの店、あるみたいですね)、アメリカで一番の小売店ウォールマートはアメリカの150店舗閉店、これも大手の庶民向け小売店のKmartは60店舗閉店。文具店大手チェーン店のオフィスデポは300店舗閉店予定

皆さんご存知ラルフローレンは50店舗閉店、1000人削減を公表。株もここ2年急激に落ちています。そしてGAPも170店舗閉店予定。日本にもあるアメリカンアパレルは2回目の破産申請。

こんなすごいウィンドウディスプレイを作り続けれるラルフローレンも非常に厳しい状況にあるみたいです。株価も2年前のピークの$188にから現在は半分以下の株価に落ち込んでいます。

2017年閉店、破産申請

そして、今年まだ3か月しか経っていませんが、早くも多くの小売店が閉店、破産を公表してきています。

アバクロ100店舗閉店予定公表、日本でもとても流行ったサンダルのクロックスは2018年までに160店舗閉店。そして日本にもあったんですね、、BCBGレディースアパレル店は120店舗閉店。J.C.Penneyという大手デパートは130店舗閉店予定。昨年60店舗閉店と公表したKmartはさらに100店舗閉店

ステープルスという大手文具店は70店舗閉店公表、RADIO SHACKという電気チェーン小売店は2回目の破産申請でとりあえず200店舗閉店。CVSという医療品、ファーマシー大手チェーン小売店は70店舗閉店予定。

今後経営が厳しいのではないかと言われている小売店も沢山あります。

考えられる小売店閉店、破産の3つの原因

アマゾンをメインとするオンライン購入の影響

元々アメリカでは日本に比べて、遥かにオンラインでの商品購入が盛んです。やはりオンラインでの購入がどんどん便利になってきて、わざわざお店まで行って何かを購入するというスタイルが少なくなってきていると思われます。

オンラインで購入して、サイズが合わなくて実店舗で返品するというスタイルもアメリカならでは、確立されています。無料送料を提供しているお店も多く、もはやオンラインで洋服や靴を購入するというリスクが何もない状況になってきているのです。

今まで商品クオリティ、カスタマーサービス向上の努力不足の為、淘汰され始めている

今までのとにかく何か物を作って、お店に置いておけば商品は勝手に売れていく、お店には販売員がとりあえずいればいい、という小売店が重宝されてきた時代はとっくになくなりつつあります。

商品クオリティー、カスタマーサービス向上の努力をしていない小売店はオンラインという強豪に対抗出来なくなってきています。

オムニチャネル化が遅れている

これは日本も含めて本当に大事なポイントです。IT、AI人工知能の大波がどんどん来ていて、小売店の今までの常識を覆してきているのです。もはや上記の商品クオリティー、カスタマーサービスだけでも今の時代では売り上げを伸ばしていくには不十分でしょう。

今アメリカの小売店、レストランで急激に取り入れられ始めているモバイルオーダー(モバイルで先にオーダーして、お店やレストランで列に並ぶ事もなく商品を手に入れる事が出来る)や、1時間内等の配達サービス、最近アマゾンが公表した商品を手に取って、レジでの支払いも無くお店から出るだけで、先に登録したクレジットカードでその商品が自動的に決算されるというシステム。

レジ待ちでイライラする事はとても多い中、このモバイルオーダーや、レジ処理無くお店から商品を持ち出しする事が出来る事はとても素晴らしいシステムです。

今、人工知能の技術でこの世の中は急速に変化して来ています。小売店もこの波に乗り続けないと1年先にはもう本当に取り残された状態になってしまいます。

まとめ

お店閉店にも、将来の為の前向きな閉店という事もあるとは思いますが、多くは時代の波に乗り切れずに閉店、倒産して来ている状況です。

上記の様に商品クオリティーと、あまりアメリカでは重要視されてきていなかったと思われるカスタマーサービス向上は、必要最低ラインとしてきちんと向き合い、一番重要な世の中のIT、AI、モバイル、SNS、オンライン店等の波にきちんと乗って行く事がとても大切ではないかと思います。

日本も同様、AI技術によって大きく変化して行くであろう波に乗り遅れない事はとても重要です。うちの店は今までのやり方で成功してきたし、商品クオリティーには絶対的な自信がある!という会社もそれだけでは今後成長していくにあたっては不十分だ、という事を認識して下さい。

現にアメリカの老舗デパート、お店がこんなにも淘汰されているという現実を見たら疑う物は何もないのではないでしょうか?

最後にTwitter@tomitainusaではアメリカの日常の事、仕事の事、そして小売業の事等を呟いていますので、ぜひフォローしてください。

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