アメリカの失業率が過去最高水準の中で米小売業は撃沈

世界中がコロナウィルスで大変な事になっています。

その中でもアメリカのニューヨークは突出してウィルス陽性者が出ています。

現在2020年5月8日時点でもまだ予断を許さない状態です。

私は米小売業で働いていますが、旅行業、レストラン業と共に今回のパンデミックによって大きな被害をおった業界の一つです。

この1週間内で大型米小売り企業が2社続けて破産しました。

J. Crewは日本でも展開していたのでご存知かもしれませんが、ニーマンマーカスは聞かれた事がない方もおられるかもしれません。

ニューヨークやビバリーヒルズ等の超一等地にある高級百貨店です。

ただ、この2社はコロナウィルスが拡がる前から厳しい経営状態だったと言われており、コロナウィルスによって最後のとどめをくらった、という事です。

実際に現役でアメリカの小売業で働いている私の現場の視点から、今のアメリカ小売業では何が起こっているのか、そしてこれからどうなるのかをお伝えします。

倒産する3年前の2017年にJ.Crewの厳しい状況を記事にしていました。

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(2020年5月4日追記)本日アメリカ時間の2020年5月4日月曜日にJ. Crew グループは正式に米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請しました。多くのアメリカの大型小売店の倒産が噂されていましたが、J. Cr[…]

アメリカ失業率推移

https://tradingeconomics.com/united-states/unemployment-rate

本日2020年5月8日発表されたアメリカの4月の失業率は14.7%で205,000人のアメリカ人が職を失いました。

戦後最大の失業率で、3月の失業率が4.4%の為、約3倍以上に急速に失業率があがりました。

CNN BUSINESSによると“It doesn’t even include everyone who’s out of work”

一時帰休等で実際には失業保険を申請していないけど、仕事も出来ない状態の人は含まれていない、という事です。

未だにレストランや多くの小売店は営業が制限されていますので、そのサービス業の一時解雇された数ははかりしれません。

後述しますが、私も同様に小売業勤務で現在は給料は支払われずに有給休暇を消化しており、失業保険申請はしていません。

私と同様に実際は仕事をしていないけど、失業申請をしていない人はかなり多いはずです。

それらの人数を含めると実際の4月の失業率は20%弱位だとも言われています。

数字として本日発表された14.7%ですが、予想よりは酷い結果では無かったとみられ、アメリカの株価は今日も上昇しましたが、14%の人が失業という数字はかなり酷い数字ですけどね。。

何か今のアメリカの株価は感覚が麻痺しちゃってるんじゃないか、、って思う位急激に回復してきています。

アメリカ小売業

不要不急のほとんどの小売店は一時閉店

アメリカでは各州が独立した運営をしている為、州により様々ですが、私の住むカリフォルニアでは多くの不要不急の小売店は3月の中から臨時閉店しています。

この3月15日に発表されたNIKEが全店舗を臨時閉店するというニュースが私達同業者にはビッグニュースでした。

このNIKE、そしてアップルストアの閉店発表によって、ほとんどの小売店が追随する形となりました。

そして、翌日の3月16日には多くの小売店が一時閉店し、その翌日の17日には多くのモール自体がクローズするという急激な事態にまで変化していきました。

小売業勤務者はfurlough(ファロー)という一時帰休状態

お店が臨時閉店という事はオンライン販売以外では当然売り上げが0になってしまいます。

そうなってくると、お店で働く社員、スタッフを今後どうしていくか?という事に焦点が集まってきます。

最初は1週間の臨時閉店の予想だった為、多くの企業は全スタッフの給料を支払っていたと見受けられましたが、事態は好転せずに、閉店する期間を延長せざるを得なくなりました。

会社は売り上げがない為、給料も払えなくなるし、雇用を続けていくのも厳しくなってきます。

多くの企業が”FURLOUGH” (ファロー)という一時帰休を実施しました。

このファローとは、一時解雇とも言えるのですが、解雇というよりも雇用を続ける事、必ず復帰させる事を前提として、自宅待機を指示するというニュアンスですね。

但し、このファロー中の多くの場合は会社から給料は出ませんが、保険の支払いは継続してもらえるケースが多いです。

アメリカでは保険が無くなる事はとても危険ですからね。。

徐々にお店を再オープンし始めた

カリフォルニア州ではまさしく今日5月8日からはステージ2として、ソーシャルディスタンスを確保しつつも一部のお店をリオープンさせる事が出来る様になりました。

私の勤務するお店も来週に復活させる予定です。

上記のツイートの様に今は自分の有給で食いつないでいる為、働ける事は助かります。。

但し、このパンデミック前と同様の形式では営業出来ない事はあからさまです。

入店できる人を制限しないといけませんし、きちんとした接客も出来ないでしょう。

キャッシュの取り扱いも今後極端に減る事でしょう。

何よりも、お客さんは中々返ってこずに、オンラインで購入するスタイルを続けるはずです。

私達お店で働く人達も変化せざるを得ません。

パンデミック以前から米小売業は苦戦していた

今回のコロナウィルスのパンデミックによって倒産したと報道されている大手小売店のJ.Crewや大手百貨店のニーマンマーカス。

これら2社に共通するのは、元々経営が悪化していて、いつ倒産してもおかしくないと言われていたという事実です。

今回の一時閉店でもうどうすることも出来ない最終的なダメージを食らってしまった事は事実ですが、恐らく今回のパンデミックが無くても近い将来に破産していたと思われます。

それ位、アメリカの小売業は苦戦していました。

ホームグッズ取り扱い大手のPier1やカジュアルジーンズブランドのTrueReligion、そしてファストファッションの代名詞Forever21等も今回の件以前に破産しています  。

そして女性下着メーカーのVictoria’s Secret、 大手ホームグッズチェーン店Kohl’s、大手デパートメントMacy’s等も大量に店舗を閉店しています。

このパンデミックが無くても、アメリカの小売業はかなり苦戦を強いられていたのは間違いありません。

アメリカ小売業が元々いかに厳しい状況だったかというのがわかる過去の関連記事です。

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【2020年5月追記】2020年5月現在、この数か月のコロナウィルスの拡大により、アメリカの小売業のほとんどのお店が一時閉店を余儀なくされました。この記事を書いたのが2017年ですが、2016年、2017年のアメリカ小売業を[…]

パンデミック後の倒産

上記ではパンデミックの影響が無くても倒産する小売企業は沢山あると明記しましたが、それでも今回のこの件による被害が直撃して倒産を余儀なくされる企業もいるのは確かです。

今週、来週から洋服、スポーツグッズ系の小売店はリオープンする事になりますが、まだまだ不安定な運営がしばらくは続くはずです。

もしかしたら感染拡大の第2波が来ないとも言えません。

今後も倒産する企業はあるでしょう。。

特にアパレルはトレンドがあるので、今年一時閉店の為に売れなかった春物商品を来年の4月に通常価格で売れる訳では無く、トレンド遅れとしてディスカウントが必要になるでしょう。

秋商品の生産が止まってしまった可能性もあり、リオープンしても売る商品が無い、間に合わないという事も十分考えられます。

こういう在庫事情も経営を圧迫してしまいます。

これらアパレル小売業以外でも、レンタカー屋のHertz、大手スーパーのKmart、ゲーム小売店のGame Stop等も倒産の可能性があると言われています。

まとめ

アメリカの4月の失業率は14.7%で205,000人のアメリカ人が職を失いました。

そして小売業は多くの企業が一時閉店、スタッフ社員は一時帰休をしている状況です。

多くの企業が閉店、倒産を余儀なくされている中、今後も倒産するという危険は続いていくはずです。

今回の件で多くの人達が家に滞在して次の機会を悶々と待っている事でしょうが、幸いカリフォルニア州では今週、もしくは来週には一部の小売業がビジネスを再開します。

本当に新しい時代の幕開けとなる事でしょう。

日本ではまだ外出自粛が続いていますが、もし何をしようか?と思われているならばこの関連記事を参照下さい。

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