アメリカ小売店での恐ろしい盗難事情と米国企業の対策

アメリカの小売店で働いて驚く事の一つ、「恐るべしアメリカのリターンシステム」に関しては以前に何度か記事にしてきました。

アメリカの返品事情 #1

アメリカの返品事情 #2

アメリカのお店ではクレームをマネージャーに直接伝える事が一般的

それともう一つ恐ろしい事があります。。

それは、、お店で頻繁に起きる「盗難」です。

それではどういう事か明記して行きましょう。

アメリカの盗難事情

日本の小売店で働いた経験が無いので、私の実体験からの比較は出来ませんが、前職は日系企業で本社が日本だった為、当然日本のお店の情報も入って来ていましたし、日本のお店の人達とも日本出張時にはお会いする機会もありましたが、アメリカの盗難事情を話すとビックリされる事が多いので、日本に比べてアメリカの盗難は非常に多いと思われます。

前職ではさすがに日系企業なだけあって、商品管理が本当にキッチリされていて、前日比で一つでも店頭の商品数が足りなかったら必死に商品を探して、セキュリティーカメラで悶々とチェックをして、盗難された事が分かったとしても、商品紛失の原因が分からなくても、手書きで反省文を書く、という今のデジタル化されている世の中に真向から逆らうという、、非常に残念な後処理をしないといけませんでした。。

盗難がビデオで明確に判明したら、警察に電話してお店まで来てもらい、レポートを発行してもらっていました。しかし、例え盗難の現場をセキュリティーカメラが完全に捉えていたとしても、私達が裁判を起こさないと、警察は何もしてくれません。

そうです。。警察を呼んで、レポートを発行してもらったとしても、何も起こらないのです。何も。。。

この後処理は非常に後向きな仕事で、一つの紛失処理に対するリサーチからレポートまで、仕事時間は莫大な物でした。

勿論、反省すべき事、改善すべき事はありますが、この後ろ向きな仕事に莫大な時間を費やすという、、しかも手書きで反省文。。。

とにかく盗難は頻繁に起こりました。

どんな内容か、というと、、

大きなバックを持って親子で来店し、子供はそこらで遊ばせておき、スタッフが他の方向を向いている間にがばーーっと服を5点位手に取りバックに詰め込む。それを3回位続けて10-20点位の商品を盗難。そのまま立ち去る。

スーツを来たジェントルマン風のおじさんが、さらりと靴をスーツのジャケットの中にしのばせて、そのままブラブラとして立ち去る。

車いすの人が入店。服を2点位手に取り、背中と椅子の間に入れてそのまま立ち去る。

じっくりと商品を観察。スタッフともじっくりと話し込み。1時間位お店に滞在。その担当スタッフが別の方向を見ている間に、トータルで10点位バッグに入れていたという、何とも余裕を見せる盗難技。

5人位のグループが来店、各自がさらさらっと商品をバックに入れて一気に立ち去る。

上記全てセキュリティーカメラで確認した内容です。

本当にあまりにもあっさりとしていて、恐ろしくなります。。

アメリカ米国企業の盗難対策と処理

米国企業ブランドに転職してきても、当然盗難はあります。ただ、前職の日系企業の様に日々、店頭の商品数を確認していない為、明確な何かが無い限り、盗難された事は判明出来ません。

最近あった盗難の例です。

商品の掛かっていないハンガーが10個位ラックにかかっている事に気づく。もうあからさまに盗難された事が判明。ビデオチェックすると、がばっと手に取り、バックに詰め込み難なく立ち去る。

パンツのポケットから壊れたセキュリティーセンサーが発見された為、何かが盗難された事が判明(但しどの商品かは分からず)。

プライスタグだけが床に落ちていて、商品が無くなっていた事は数知れず。

この現職場では当然、商品数を日々確認するなんて事は有り得ません。

そんな事をスタッフに強要したら、一日でアメリカ人スタッフは辞めていく事でしょう。。

そして、ビデオで盗難の現場を確認する事が出来ても、警察に通報はしません。

何故なら、通報した所で意味が無い事を十分理解しているので。

盗難者もその事を理解した上で盗難している事と思います。当然現場で発見されて捕まるリスクは伴う事も分かってはいるとは思いますが、そこのリスクにはそんなに比重を置いていないのでは無いのかとも思えます。

棚卸は一年に一回です。

その時にどれだけ商品が無くなったか、ダメージ商品になったのか、が数字で明確に判明されます。

アメリカ米国企業では、盗難がある事、100%防ぐ事は難しい事を十分理解しているのです。

その中で、どれだけ防ぐ事が出来るか、という事に仕事を集中させているのです。

半年に一回のオンライントレーニング、毎月の参加型トレーニングときっちりとした内容のシステムにして、防止対策の勉強、トレーニングを全スタッフ、社員がしています。

勿論、盗難が起こった場合、疑惑があった場合、きちんと報告をしないといけませんが、詳細を明確にする為に調べ尽くす事もないですし、警察を呼んで対応する事も無いですし、反省内容を提出する必要もありません。

何故なら、アメリカでは盗難がある、という事を前提に考えているからです。

そして、それは外敵盗難ばかりではありません。内部のスタッフによる盗難も頻繁に起きているみたいです。

再度言いますが、、但し、盗難を防ぐ為の企業努力をかなりしていて、そこに時間と労力をかけています。

決して、起きた事に対する後処理の為に時間と労力をかけていません。

また詳しい事は今後記事にしますが、アメリカ小売店ではLoss Prevention(ロスプリベンション)という盗難、紛失防止、セキュリティー、安全対策等の広い範囲をカバーする部署が通常設置されており、その部署がこの紛失防止専門に取り組んでいます。

まとめ

もし自らアメリカで小売店を始めようと考えているなら、残念ながらアメリカで盗難は必ず起きる、と認識しておいて下さい。

日本本社からアメリカに進出する為に小売店をオープンさせるならば、アメリカの盗難事情を十分理解しておいて下さい。

盗難が起きてから対策を練るのでは無く、決して責任を追及するのでは無く、会社が盗難を防止する為の対策を取って、いかに盗難を少なくさせるかというトレーニングに時間を費やす様にして下さい。

結果として盗難されてしまったとしても、次の防止策の糧にする様にして、決してその後処理に時間を費やす事の無い様にして下さい。

その位、アメリカでは盗難は起きる物と考えられているからです。

そして、盗難が起こったとしても警察は何もしてくれませんので。

更に忘れてならない事は、アメリカは銃社会だ、という事。

常に危険が伴います。深追いは厳禁です!!

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